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あの味この味 区切り

2017年4月1日

株式会社ダイテック

新たな工法の開発に努め
業績を拡大

 

 

鈴木裕一代表取締役

 

 

■時代に先駆け「ラーメン接合」を開発

 

―まずは事業内容から伺います。

 

鈴木 当社は木造フレーム(骨組み)工事を設計から施工まで一貫して手掛けており、主に大きい間取りが必要な大型建築物、具体的には学校や体育館、幼稚園などの〝非住宅〟の分野を得意としています。現在は、いわき市を拠点に東北から関東、北陸ぐらいまでのエリアをメーンとしていますが、そのほか北海道や九州などでも施工させて頂いているところです。

 

――木造でありながら鉄骨やRC造(鉄筋コンクリート造)のような大空間の間取りを可能にした「ラーメン接合」や、強度と剛性をより強固にした「高倍率耐力壁」を開発するなど、その施工技術は高い評価を受けていますね。

 

鈴木 もともとは㈱赤井製材所という会社で製材の販売をしていたのですが、新たにフレーム工事の分野にも参入しようと平成3年に設立したのが当社になります。
当時、製材の販売はほとんどが住宅用であり、広い空間が必要な非住宅の分野は鉄骨やRC造がメーンでした。なぜかと言えば、木造は柔らかい材質なのが良さの一つなんですが、その特徴ゆえに木と木の接合部分は多少の揺れが生じてしまい、構造体の耐震性を強めるため柱と柱の間にブレース(筋交い)を入れる必要があったからなんです。

 

一方で鉄骨やRC造ではしっかりと軸を固定するため木造と比べ揺れが少ない。ですから、そもそも小部屋が多い住宅についてはブレースがあってもさほど気にはなりませんでしたが、大型建築物の世界に入った途端、間取りの面からデザインの制限が多くなり、昔はほとんどが鉄骨やRC造だったんですよ。

 

それで、木造でも大型建築物がやれるんだというのを証明したくて開発したのが「ラーメン接合」になります。木造ながら鉄骨やRC造に近い接合を可能にした工法で、従来のものより柱や壁を取らなくて済み、木造建築の可能性を拡げることが出来ました。

 

当社が「ラーメン接合」を開発したのはいまから20年ぐらい前。現在、木造ラーメン工法を手掛ける会社は多くなりましたが、我々が開発した当時は業界でもあまりいなかったと思います。ただ、いまでは木造の大型建築物は当たり前のようになってきていますが、建物に採用されるには実績がないといけませんから、10年近くは認知されず全くダメでした。そのため、いつかは芽が出ると信じて役所や設計事務所へ売り込みに行く毎日でしたね。

 

――御社で手掛ける「ラーメン接合」の特徴は?

 

鈴木 当社の「ラーメン接合」は、接合に大径ボルトを使用しているため、建物を解体した際、リサイクルをしやすいという利点があります。また、簡単で作業効率が高いため、品質管理も容易となり大幅な工期短縮が出来ることです。
実はこの「ラーメン接合」は非常に高度な技術なんです。そのため、この技術を一番初めに開発したことで会社全体のスキルアップにつながり、その後、ほかの技術開発をする際の大きな後押しになりました。

 

同じ木材を扱っているとはいえ、製材から建築と全く違う業態への挑戦でしたから、何事も一から勉強でそれはもう大変でしたよ。ただ、幸いにも優秀な従業員に恵まれたことで、ここまで何とかやってこれたと思っています。

 

現在、資材会社である㈱赤井製材所とフレーム工事を設計から施工まで行う当社がうまく連携出来ており、激しい競争の中でもコストや工期の面で大きな強みになっていると思っています。

 

■木造建築の良さを普及していく

 

――木造フレーム工事のほか、ログハウスにも力を入れていますが、震災後、他社と共同で建設したログハウス仮設住宅は、平成24年グッドデザイン賞で金賞を受賞しました。

 

鈴木 ログハウスについては震災前から細々とやらせて頂いていましたが、震災が起きた際、本県の木材で何か出来ないかと思い、県内の同業社と協力して最終的には550戸の仮設住宅を建設しました。お陰様で自動車などの近代的な産業ならいざ知らず、木材産業でグッドデザイン賞を頂いたことは大変驚きましたし、うれしかったですね。

 

現在、当社の事業はフレーム工事がメーンとなっていますが、今後ログハウスの需要は更に伸びていくと見込まれていますので、いずれは事業の柱の一つにしていきたいと考えています。

 

――最後に今後の抱負をお聞かせください。

 

鈴木 これまで当社では、日本農林規格(JAS)の認定を受けた大径国産杉の大断面製材の可能性を広げるため様々な開発を行ってきました。現在、日本では戦後に植林した人工林の伐採期に来ているところですが、細い木材であれば柱などに使えるものの、太くなってしまった木材についてはあまり使い道がなく、細かくして集成材などにしてしまっているのが現状です。

 

そのため、無垢の木材を利用し、更には林業県である福島の山林の活性化につながっていければと、平成25年には300㍉×390㍉×長さ8㍍までの国産杉の無垢大断面製材がJAS認定を受け、大径杉の流通を拡大させる第一歩を踏み出すことが出来ました。

 

現在では、更に390㍉×240㍉×長さ9・5㍍の規格を申請しているところで、震災後、本県の木材は大きなハンディキャップを抱えている中、この規格を全国に広めていき、国産材、ひいては本県材の魅力を伝えていければと考えています。木造は、鉄骨に比べ大幅なCO2排出量削減効果が得られるほか、リサイクルや省エネルギー、省資源といった環境面においても非常に優れている建築物です。

 

いま時代は鉄骨から木造へと移ってきています。今後も木造の大型建築物は堅調に伸びていくことが見込まれますので、鉄骨やRC造に負けないよう、新たな工法の開発に取り組み、技術的な裏付けをもって木造建築の素晴らしさを普及していきたい。そして、将来的には海外へも挑戦していければと考えています。(聞き手・斎藤 翔)

 

 

 

■鈴木裕一代表取締役略歴

 

昭和23年1月27日、いわき市平生まれ。平工業高校を卒業後、東京都の製材会社に2年間勤務し、その後、家業の㈱赤井製材所に入社した。専務取締役を経て平成元年に代表取締役となり、3年に同社を設立した。公職では、協同組合いわき材加工センター理事長、福島県木材協同組合連合会副会長を務める。現在、市内で夫人と2人暮らし。趣味はゴルフ。

 

 

■企業 DATA

 

設立:平成3年9月

 

所在地:いわき市小川町下小川広畑16

 

事業内容:大型建築用構造用集成材の加工及び建築工事・ログハウス建築及び販売

 

資本金:4,000万円

 

従業員数:10人

 

http://www.daitec-wood.co.jp

 

 

(財界ふくしま2017年4月号掲載)


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