暮らしの困りごとを気軽に相談出来る
プロフェッショナル集団
斉藤浩一代表
■「手続きコンビニ」から「暮らしの情報・相談モール」へ
──この4月に、郡山市安積に暮らしの情報・相談モール「ベストファームモール」がグランドオープンし、本部機能もこちらに移りました。
斉藤 これまでは司法書士、行政書士、土地家屋調査士、測量士ら資格者によるワンストップサービス「手続きコンビニ」という業態を展開してきました。石川町で始まって、郡山市、いわき市、東京都、埼玉県川越市、千葉県船橋市にも事務所を設け、許認可から測量、登記など住宅に関係する様々な手続きや、相続、遺言など高齢者向けの手続きを手掛けてきました。そのほか、司法書士では法人の登記手続きなども長年手掛けてきましたし、不動産事業、住宅ローン代理店、保険も展開してきました。更に、昨年からはグループに税理士法人も出来ました。
そういった中で、これまで郡山市内で4カ所に分かれていた事務所(手続きコンビニベストファーム郡山事務所、ベストファーム税理士法人、ベストファームエステート㈱、シルバーライフ情報館郡山)を1カ所にまとめ、お客様がより便利になるものにしようと、今回のオープンに至りました。いままでの「手続きコンビニ」は、まさにコンビニのように50坪ぐらいの建物で、ロードサイドにあり、お客様が便利で気軽に立ち寄れるような店舗を目指してきました。今回のように4カ所を1カ所に集めることで、コンビニよりも大きなスーパーやモールのような形にして、暮らしに関する情報を発信する場所にしようと考えました。いろいろなお客様が気軽に訪れて、その中で、困りごとのある人がいらっしゃれば相談が出来ると。困った時にここに来れば何とかなるという、問題解決型の事務所を目指しています。
それだけのサービスを提供するには、それだけ人数がいなければ出来ません。現在は4カ所から集まって60人ぐらいの規模で対応していますが、延べ300坪の建物ですから、5年ぐらい掛けて100人規模にして、よりお客様のためになる場所づくりが出来ればと考えています。「モール」の特徴は、ホールがあることです。地域の皆様の健康や交流を応援するようなイベントを開催し、住宅を建てたい人に向けたセミナーや、士業に関連するセミナーなども逐次企画していこうと思っています。
また、グランドオープンに伴って、福島県で初めて、「すまいポート21」というフランチャイズに加盟しました。住まいづくりを1級建築士やファイナンシャルプランナーなどそれぞれの専門家が第三者の立場でサポートする事業で、私どもがもともと手掛けている登記手続きや測量、不動産業にも関連するものですから、ここにくれば住宅の問題も解決するという総合窓口になります。
更に、シルバーライフ情報館を設けました。シルバー世代向けの情報を発信していく場所でして、例えば有料老人ホームに入りたいという方に向けた情報を提供したり、そのほか介護、相続、遺言などいろいろな相談に乗ることが出来ます。
──司法書士、土地家屋調査士である斉藤代表は、平成15年に県内第1号の土地家屋調査士法人、第2号の司法書士法人を設立するなど、士業の法人化に早くから取り組まれ、経営者としてグループの発展に力を注いできました。この10年を振り返っての感想は?
斉藤 お客様目線で、利用しやすい事務所を目指し、当初は住宅関連の手続きでたくさん利用して頂いていました。その後、リーマンショックなどの影響で景気が落ち込んできた時には、多重債務者のご支援や、過払い金還付のお手伝いをしてきました。そういう中で、郡山だけでなく、県外にも事務所を出していくことが出来ました。資格者も、福島では独立志向が高く、私どもと一緒に仕事をしたいという方があまりいなかったのですが、東京では独立するより組織に入って仕事をしたいという方が結構いたものですから、そういう方に、福島にも来てもらっているんです。
■シルバー世代の生活をサポート
──高齢者向けのサービスに着目されたきっかけは?
斉藤 高齢者が増えてきているのであれば、相続手続きは私どもの本業、得意とする分野ですから、強化していこうと取り組んできました。しかし、私どもは士業なので、相続手続きしか頭になかったのですが、それだけではお客様の問題は解決しないことがだんだん分かってきまして、私どもでなければ出来ないご支援はないかと考えていた時に、身元保証というものがあると聞きましてね。特に東京では、家族がいないとか、夫婦2人だけとか、子供はいるけど海外に勤務しているとか、そういう高齢者の方がいらっしゃって、介護のことを考えるともうそろそろ自宅にいるのは不安だと、有料老人ホームとかサービス付き高齢者住宅に入る方も増えてきている。しかし、身内がいない場合、施設としては家賃保証だけではなくて、亡くなった時のこともきちんとしてもらわないと受け入れることは出来ないと、身元保証が求められます。そこで私どもは、そういうことをお手伝いしようと、身元保証業務を始めたんです。財産管理のお手伝い、亡くなった時にはご葬儀、納骨、遺品の整理もやらせて頂く。地方にも需要はあると思っています。
ただ、資格者はそれぞれの資格に限られてしまいます。本当はお客様は困りごとをその人に全部聞いて欲しいわけです。全部の知識をより深く持つことは不可能ですけれども、ある程度幅広く知識を持つことも必要だということで、社内で勉強会を行い、シルバーライフカウンセラーという社内資格も作りました。
──最後に、将来展望を。
斉藤 まずはこの郡山の「モール」を軌道に乗せて、ここでノウハウが出来てきたら、ほかの事務所も同じようなモール形態にしていくことが目標としてあります。また、そのころには、後継者を育てていかなければいけないということもありますね。私もあと6年で60歳になりますので、60歳ぐらいをめどに、代表を誰かに譲って、会長のような形で5年ぐらいバックアップして、そのあとは顧問として見守るような形にして、きちんと事業承継したいなと思っています。 (聞き手・渡辺利彦)
■斉藤浩一代表略歴
昭和35年6月14日、石川郡古殿町生まれ。神奈川県立湘南高校から司法書士専門学校を経て、57年に司法書士試験合格。59年、古殿町で開業し、平成2年に事務所を石川町に移転。平成4年に㈲エスコを設立、15年に㈱ベストファームに社名変更。司法書士、土地家屋調査士の資格を有し、ベストファーム司法書士法人、ベストファーム土地家屋調査士法人など12法人からなるベストファームグループの代表を務める。
■企業 DATA
設立:平成4年
所在地:郡山市安積3丁目101
事業内容:相続・贈与、遺言・終活、不動産登記、土地測量・設計、住まいづくり、保険・ライフプラン、会社設立時の支援、税金申告・相談
資本金:5,000万円
年商:10億円
従業員数:150人(パートを含む)
(財界ふくしま2014年6月号掲載)