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あの味この味 区切り

2013年1月1日

有限会社丸又葬儀社

時代のニーズに合わせて

サービスの進化を続けていく

 

 

渡辺 章 代表取締役

 

 

 

■仏壇業から葬祭業に軸を移す

 

――まずは、創業の経緯からお願いします

 

渡辺 現在は二本松市内を中心に葬儀や法要、仏壇仏具の販売など葬祭業全般を行っておりますが、もともと当社は仏壇屋でした。明治30年ごろに曽祖父である初代の渡辺又治が「丸又仏具店」を創業したのが始まりで、屋号である「丸又」は、この初代・又治の名前に由来しています。昔から二本松には彫物の職人集団がおり、又治もその一人でした。彼はそこで修業を積んで仏壇を作り始めたと聞いています。

 

 

――葬祭業を始めたのはいつごろからでしょうか?

 

渡辺 葬祭業を始めるようになったのは前社長の春治からで、昭和30年ごろから葬儀の棺や仏具などの葬祭業の方に軸をシフトしていきました。あのころは終戦から10年が過ぎていたこともあって世の中も落ち着き始め、人々にもある程度の余裕が生まれてきた時代でした。表に飾る花輪やお供物などが出始めるなど葬儀が豪華になってきたのもこのころからです。  それまでは仏壇の製作をメーンに行っていましたが、時代の移り変わりとともに事業も変遷していったのです。その後、仏具はほとんど作らなくなり、葬儀社としての仕事の方が主流になったため、昭和50年に社名を改めて法人化したのが、いまの㈲丸又葬儀社になります。

 

 

――昔はお寺や自宅で葬式を執り行っていましたが、いまは斎場が主流になっています。斎場を造られたのは平成12年とのことですが、そのきっかけは?

 

 渡辺 「やすらぎの丘 二本松斎場」を建設した当時、斎場があったのは福島や郡山ぐらいで、安達地方では初めての斎場でした。私は全葬連(全日本葬祭業協同組合連合会)の組合員として県内各地の葬儀を見て回ったことがあるのですが、ほかの地域にある斎場を見るにつれて、これからは斎場の時代だと思うようになりました。

 

斎場の利点は、空調設備が整っているため、季節に関係なく1年間を通して一定の環境で行えることやお寺とは違って椅子に座って参列出来るなど、あまり体に負担を掛けずにお葬式が行えることです。また、車社会になった現代では車でいらっしゃる会葬者の方が多くなりましたが、お寺やご自宅ですと駐車場のキャパシティーの問題が出てしまいます。

 

そういったことも踏まえて先代と相談して斎場を造ることにしたのですが、出来た当初は葬儀のすべてを斎場で執り行う気持ちは全くなく、半分ぐらい使って頂ければと考えていました。しかし、いざ始めてみると次から次へと斎場での依頼が来るようになり、瞬く間にほとんどが斎場葬で行われるようになったのです。

 

その2年後の平成14年に現職に就任しましたが、就任当時は斎場が出来たばかりということもあり、どうお客様に満足して頂けるサービスを提供出来るのか、手探りの中でサービスの進化を図ってきました。幸いながら、長く勤めていた優秀なスタッフがおりましたので、阿吽の呼吸で業務を行うことが出来ましたね。

 

 

■年々変化する顧客のニーズ

 

――近年、大手の葬儀社や他業種からの参入が相次いでいます。

 

渡辺 大手の葬儀社さんの中には、花輪や営業、葬儀といった葬祭業全般の仕事を分業化されておられるところもありますが、私たちのような小さいところでは、最初の打ち合わせから葬儀が終わったあとのご集金、そして四十九日や一周忌のご法要まで1人が一貫して担当させて頂いております。

 

確かに分業化する方が効率的にいいのかもしれませんが、お客様にとっては一から十まで1人の人間が担当した方が安心出来ます。私たちのようにマンツーマンでお手伝いをさせて頂いた方が信頼関係を築くことが出来るのです。そのため、葬儀が終わって何年か過ぎても法事の際には指名を頂くことが多々あります。そこが当社の強みだと思っています。

 

 

――価値観やライフスタイルの変化によって、顧客のニーズが多様化しています。

 

渡辺 お客様のお葬式に対する考え方は年々変化しています。特にいま顕著に現れているのは「家族葬」です。家族葬とは、一般の方にはお知らせしないで身内だけで見送ってあげるというもので、二本松でもここ2、3年、増えてきています。

 

また、故人は花が好きだったから遺影の周りにたくさんの花を飾ってくださいといったオプションのご要望も多様になっています。そういったニーズに対応出来るよう、私どもも規格品だけではなくオプションの充実化も図ってお客様のご要望にいくらでも応えられるような体制作りに努めています。

 

そういった変化はここ最近、特に早くなっています。今年6月5日に郡山で全葬連青年部の全国大会が開かれ、当社も若い従業員を派遣してお手伝いをさせて頂きましたが、こういった活動などを通じて同業者と意見交換することで、日々変化するニーズに対応していきたいと考えています。

 

 

――今後の抱負をお願いします。

 

渡辺 一つは、従業員の質の向上を図っていくことです。厚生労働省認定の「葬祭ディレクター」という資格がありますが、この資格を得るためにはお客様の接待から葬祭に関する知識、司会といった葬祭業全般の能力が必要になってきます。いま、同業者の間ではこの資格を取るところは多くなっており、当社でも従業員全員に取らせるようにしています。この資格を持っているということは、それだけ勉強して知識を深めたということです。末永くお客様とお付き合いをさせて頂くためには、勉強の積み重ねが重要なのです。

もう一つはソフト面の強化です。ハード面に関しては斎場などある程度は整っているのですが、ソフト面に関しては刻一刻と進化を求められています。私ぐらいの年齢になると、どうしても保守的に考えるようになってしまいます。私も父と相談して斎場を建てた経験がありますから、若い人の新しい意見を尊重しながらサービスの進化に努めていければと思います。

(聞き手・斎藤 翔)

渡辺 章 代表取締役略歴

昭和31年1月5日、二本松市生まれ。二本松工業高校卒業後、同社に入社し、平成14年に現職へ。公職では、二本松あだたらロータリークラブの会長を務めている。

 

 

 

■企業 DATA

 

創業:昭和50年2月1日

所在地:二本松市本町2丁目99-2

事業内容:葬祭業全般

資本金:500万円 従業員:19人

 

 

 (財界ふくしま2013年1月号掲載)

 


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