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あの味この味 区切り

2016年12月26日

株式会社エンルートM’s

全国へ「福島産
ドローン」を広めていく

 

辺見俊彦代表取締役

 

■需要が高まるドローン市場

 

――まずは業務内容から伺います。

 
辺見 当社は、㈱テレビユー福島(本社・福島市、信国一朗社長)のグループ会社である㈱MTS&プランニング(本社・福島市、川口昇児社長)と、産業用ドローンの開発を手掛ける㈱エンルート(本社・埼玉県ふじみ野市、伊豆智幸社長)の共同出資により、今年4月に設立しました。現在は、エンルート製の産業用ドローンの組立製造と販売のほか、オペレーション指導、メンテナンス・修理・補償サービスなどを手掛け、本県はもとより全国に向けて「福島産ドローン」の発信・販売を行っています。

 
もともとMTS&プランニングでは、3年ほど前からマルチコプターによる景観空撮映像の撮影・編集を手掛けていましたが、この分野は全国でも500とも600とも同業者がいると言われているように、大変競争の激しいビジネスでした。そのため、別分野にも挑戦しようと2年半前に産業用ドローンのプロジェクトが始まり、昨年3月にドローンのトップランナーであるエンルートと業務提携をしたんです。

 
私はMTS&プランニングで、ドローン事業の立ち上げ当初からかかわってきましたが、エンルートの伊豆社長に提案したのが〝ディーラー制度〟でした。ドローンと一概に言っても、そこには製造や販売はもちろん、メンテナンス、トレーニング、ユーザーフォローなど諸々のサービスが必要になります。ですから、ドローンと自動車とは同じビジネスモデルであり、それを一緒にやりましょうとお願いしたんです。

 
最初は東北エリアの販売を担当していましたが、その後、エンルートから全国エリアも任されるようになり、更には組立製造、一部部品の製造と次第に事業の幅は広がっていきました。

 
――共同出資会社を設立した経緯は?

 
辺見 MTS&プランニングは、県内ではテレビユー福島の子会社としてそこそこ名前は知られているものの、それがいざ全国となるとそうはなりません。一方で業界におけるエンルートのブランド力は大変大きく、我々としては「エンルートM’s」という会社を設立し、エンルートとの関係を業務提携のレベルから更に上の関係に築けることは大きなメリットでした。また、エンルートにとっても研究開発に専念出来るメリットがあったことから、共同出資会社の話は双方で早い時期からあったんですね。

 
――様々な分野で活躍が見込まれるドローンですが、御社の産業用ドローンはどのような用途のものが多いのでしょうか?

 
辺見 橋梁、トンネルなどのインフラ保守点検や、農薬散布などの農畜産業、測量土木が多いですね。現在、当社では委託業務として橋梁の下部点検なども行っているのですが、昭和期に建設された構造物の老朽化が進む中、作業の省力化・低コスト化が出来るドローンの需要は今後更に増していくことでしょう。また今年、農薬散布用ドローンを約300機販売することが出来たように、高齢化と人手不足が問題となっている農業においてもその需要は大変高いものがあります。

 
――成長産業として企業の参入も相次ぐ中、御社の強みとは?

 
辺見 姿勢制御といったドローンの頭脳部分に当たるフライトコントローラーは、大きく分けて3種類あります。その中で、エンルートで取り扱っている3DR製フライトコントローラーだけがドローンのオートパイロットが出来るんですね。数㌔先まで機械的に飛行出来ることは、精度の高い測量が可能となることをはじめ様々なメリットがあり、当社の大きな強みだと思っています。

 
■将来的にはオール福島体制に

 
――ドローン製造には多くの県内企業がかかわっていますね。

 
辺見 当社では組立製造を行っていますが、フライトコントローラーを製造しているアサヒ電子㈱(本社・伊達市、菅野寿夫社長)をはじめ、パーツの2割ほどは県内企業が担っています。技術的な面から言えば、ドローン自体は本県でも十分作れるものです。ですから、県内企業が製造したパーツを当社で組み立てるという形は十分可能なことだと思っています。現在はコスト面の問題から実現は出来ていませんが、将来的には「オール福島体制」を目指し、復興へ向けた次世代産業へチャレンジしていきたいですね。

 
また、ドローンの販売のほかにも、保守点検や測量などの業務委託といったソリューション提供も伸びてくることも見込まれ、将来的には販売とソリューション提供を半々ぐらいの企業バランスにしていきたいと考えています。更には、年間メンテナンスや保険会社と共同開発した補償サービス、空撮などに必要な技術を習得するための教習事業など、裾野の広い事業を展開していきたいですね。

 
――最後に、今後の展望を。

 
辺見 MTSの時代からを含めると、この1年半の間で約500機のドローンを販売することが出来ました。販売数の増加に伴い、現在、受注生産から計画生産に切り変えつつある中、2020年には年間1000機、関連事業を含めて180億円の売り上げを目指しています。年間1000機体制もそうですが、現在でも受注から納期まで1カ月から1カ月半ぐらいお待ち頂いている状況ですので、生産体制の強化にも力を入れていきたいですね。

 
また、ドローンのニーズは規制の厳しい都市部よりも地方の方が多く、現在、当社は福島と東京に本社を構えていますが、この体制では全国のマーケットを掘り起こすことは出来ません。そのため、全国に販売網、サービス対応を築いていくためにも、今後は地方ごとに拠点整備を進めていきます。ただ、当社として支店を立ち上げるのはなかなか大変なことですので、そこは協力会社を募って全国に展開していければと考えています。直接販売の方が一つひとつの利幅は大きいのですが、それでは数は伸びません。そこはディーラー網を築いていきながら、全国に「福島産ドローン」を広めていければと思います。(聞き手・斎藤 翔)

 

■辺見俊彦代表取締役略歴

 
昭和30年5月5日、福島市生まれ。福島高校、早稲田大学商学部を卒業後、58年にテレビユー福島㈱に入社。東京支社長、営業局長などを務めた後、㈱MTS&プランニングに出向。今年3月に同社を設立し、現職に就任。現在、市内で夫人、1女と3人暮らし。趣味は釣り。

 

■企業 DATA

 

創業:平成28年3月

 
所在地:福島市西中央2丁目21(MTS&プランニング内)

 
事業内容:産業用ドローンの開発・製造組立・販売並びに修理・保守管理、ドローンを活用した各種サービスの提供

 
資本金:5,000万円

 
従業員数:12人

 
https://enroutems.co.jp

 

(財界ふくしま2016年11月号掲載)


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