仕事の質の向上、安全第一で
生き残れる建設会社を目指す
内川健一代表取締役
■震災復興に貢献する
――会社設立の経緯をお願いします。
内川 当社は私の父・賢が昭和56年5月に設立したもので、私が2代目になります。もともと、先代社長の兄が内川工務店という名前でやっていたと聞いています。その後、内川工務店は廃業しましたが、それを会和工務店と改称し、改めて先代が会社を興したそうです。
――社名の由来は?
内川 会和の「会」は会津の「会」、「和」は「和をもって貴しとなす」の「和」、「会津で和をもって業務に携わる」という意味です。「和」は当社の企業理念にもなっています。企業理念は「社員の和・お客様との和・地域社会の和を大切にします」です。社是は「まず安全・スピーディーに美しく」になります。
また、建設会社ですので安全管理の徹底も最重要課題として取り組んでいます。当社の安全スローガンは「ひとりひとりが主役です みんなで守る安全職場」、安全管理の方針としては「災害〝ゼロ〟を達成する」を目標にしています。「人命尊重を基本理念として労働災害防止に一人一人が取り組む」が理念です。
建設現場は重機や重くて丈夫な建設資材、また、現場によっては十分な広さがないところでの作業もあり、危険と隣り合わせの日々が続きます。一つ間違えれば大変なことになりますので、私を含め社員全員に、社是や安全に関する取り組みを浸透させて業務に取り組んでいます。
――業務の内容をお願いします。
内川 設立当初は鳶、建設現場の足場、コンクリートの打設などの業務から始まりました。それから重機を購入し、重機を使った仕事もするようになりました。その後、型枠の工事、それから総合的な建設業務に携わるようになっていきます。現在は鳶・土工から土木工事、大工工事、建設工事、そのほか左官工事、舗装工事、水道設備工事、タイル・れんが・ブロック工事など幅広い業務に携わっています。
――建設業はバブル崩壊から公共工事の激減があり、その後、震災復旧、会津では水害の復旧工事とめまぐるしく状況が変わっています。
内川 平成7、8年ごろは売り上げが12、13億円ぐらいありました。それがずっと落ちてきまして、震災前は8億円ぐらいにまでなりました。企業努力もありますが一昨年の大震災、奥会津の水害などの災害復旧がありますので本年度は売り上げ自体はかなり上がってきました。
――仕事の受注形態は?
内川 もともと下請けが多い会社です。大手のゼネコン、地元の建設会社の足場、土木などをするいわゆる一次下請けという形態が8割弱です。元請けの仕事は13年あたりから徐々に始めています。公共工事が主でしたが、民間の仕事も増えてくるようになりました。昨年はかなり多かったのですが、民間の仕事は入札ではないので営業活動を地道に続けてきたことから何とか増やすことが出来たと思っています。仕事を増やすためにも技術力を上げることが必要ですので、当社では建築、建設にかかわる資格の取得、技能講習などを積極的に奨励しています。
――震災復旧への対応は?
内川 一昨年の5月ごろから復旧、復興の仕事が増えてきました。それから7月末からは大豪雨で只見川の水害があり、そちらの復旧、復興の仕事も増えてきました。当社で手掛けた復旧工事は建物の亀裂が入ったところに足場を組む業務、水害は発電所関係の仕事をしてきました。当社は磐越自動車道会津若松インターチェンジまで約5分で、中通りにも時間的には比較的に近いところに立地しています。そのようなこともあり、中通りの震災復旧にも携わることが出来ました。
■地域貢献にも取り組む
――これまで手掛けられた工事で、代表的なものはありますか。
内川 鶴ヶ城の赤瓦葺き替え工事の足場を当社が担当しました。お城は長方形ではなく、石垣から天守閣までだんだんと小さくなる建物ですが、そのようなところにも足場を組む技術力が当社にはあります。ちなみに鶴ヶ城の足場は平成5年にも行っています。
そのほか大きな工事としては会津中央病院本館の新館、竹田綜合病院の新病院Ⅰ期工事の足場も手掛けました。穴澤病院の新築移転、誘致企業の三和科学の工場なども携わりましたが、大きなものだけではなく個人宅の新築、住宅から水道、下水管をつなげる工事、頼まれれば屋根の雪下ろしなど大小にかかわらずいろいろな業務を手掛けています。
それから、福島第一原子力発電所の爆発事故後の仕事もしました。福島第一、第二にも行っています。内容的には防波堤が流されたのでそれを作り直す仕事です。もともとあったものが流されたので、違う場所にブロックを積む仕事などを施工してきました。もちろん安全第一ですので計器持参で法令に定められた時間制限の中で業務を遂行してきました。
――地域貢献にも積極的に取り組んでいますね。
内川 北会津村と会津若松市の合併前から取り組んできたのが北会津で毎年6月に開かれる「ホタル祭り」です。先代の社長があいづ商工会の会長をしており実行委員長でした。屋台もたくさん出ますし、いろいろなステージイベントもある大きな祭りとして定着しているものです。
当社社員も積極的に参加し、屋台も出しています。イベントのメーンになるステージ、会場の設営もしています。今年は大河ドラマ「八重の桜」が始まりました。ホタル祭りも会津の祭りとして、例年以上に大きく盛り上げていきたいです。
――今後の抱負をお願いします。
内川 今後とも仕事の質の向上を目指し、どのようなことがあっても生き残れる会社にしていきます。いままでは1次下請けが多かったのですが、これからは元請けでの受注を増やしていく努力をしていきます。震災の関係で復旧工事や、優遇措置により誘致企業の増築も増えています。ただし、このような状況が永遠に続くわけではありませんので、その後もきちんと見据えた経営のためにも仕事の質、安全の向上を目指します。
(聞き手・磯貝 太)
内川健一代表取締役略歴
昭和51年8月15日、会津若松市生まれ。会津工業高校卒業後、大成建設㈱に2年間勤務。横浜にある同社訓練校で学んだあと、平成13年4月に㈲会和工務店に入社した。24年10月から現職に。家族は母、夫人と3女。趣味はゴルフと旅行。
■企業 DATA
設立:昭和56年5月14日
所在地:会津若松市真宮新町北一丁目7番地
事業内容:建築工事、土木工事、その他建設工事全般に関する請負、設計、施工など
資本金:2,000万円
年商:9億円
従業員:64人(平成24年12月1日現在)
(財界ふくしま2013年3月号掲載)