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あの味この味 区切り

2012年9月1日

フタバコンサルタント株式会社

激動の時代に適合し、

測量・設計の新たな道を切り拓く

 

阿部好則代表取締役社長

 

 

民間からの業務委託で道を開く

 

――現在の事業内容をお願いします。

 

阿部 土木関係の測量、設計、調査、施工管理などに従事している会社で、土木工事にも多少携わっていますが、建設の測量関連業務が中核となりますね。

 

会社は昭和59年に父の阿部保好が設立したものです。我々土木コンサルタント業は公共事業を行う事業者の委託業務をメーンに行っていますが、それほど古い商売ではないので、官公庁の公共事業の推移とともに業態が発展した経緯があります。比較的、会社の創業が他社に比べて遅かったこともあり、当時はいわき市に経験を積んだ同業他社が多くある状態での出発だったと聞いています。

 

――設立当初はバブル時代でもあり、公共事業の件数も多かった時代です。

 

阿部 私も先代から話を聞いた限りですが、好景気ということもあり創業当時は業績も右肩上がりで売り上げも順調に推移していたそうです。一般的に我々の業務はほとんど民間との取り引きがなく公共事業の推移に業績が影響するものですからね。

 

ただ土木関係のコンサルタント会社としては後発だったので、官公庁関係の業務に関してはなかなか受託出来る技術力が伴わない部分がありました。先代が土木関係の建設会社に勤務していた関係もあり、会社設立から5年ほど経過したあとで、官公庁関係の委託業務から民間の建設業者の委託に事業を徐々にシフトさせていきました。現在は官公庁と民間の受託が業務の柱となっています。

 

――平成15年に現職に就任されていますが、バブル期に比べて公共事業も減少している厳しい時期での就任になります。

 

阿部 国の公共事業が一番多かった時期が平成7年前後なんですね。福島県でもふくしま国体や阿武隈川の大規模な水害を受けた地域を補修する平成の大改修などあり、平成11年をピークとして大規模な公共事業が集中的に投下されていきました。

 

わが社の売り上げも平成11年がピークで、そこからは公共事業の減少に比例して下がっていきました。いくら民間業者の業務委託にシフトしているとしても、民間の業者も公共事業の影響は大きいですから、同業他社と同じように売り上げも推移していきました。それでも私に代替わりした年には売り上げも落ち着きました。ただ、昨年の東日本大震災は年度末ということもあり、売り上げに影響がありましたね。

 

現在は復旧・復興事業の業務も数多く出されていますから、今年度と昨年度は震災時を上回る売り上げになると思います。今年になって沿岸地区の復興事業が出てきていますが、我々測量・設計に関しては工事が始まるまでが仕事ですから、今年がピークではないかと思っています。

 

――昨年の東日本大震災は事業に影響はありましたか。

 

阿部 私は東京に出張していたので、いわきに戻ってくるまで36時間掛かりました。当時は電話もつながらず、1時間に1~2本、会社の固定電話から連絡があるくらいでしたからね。会社とも密接な情報交換が出来るわけもなく、細かい情報も手に入らず、すぐにでも帰らなければいけないと思っていました。幸い、物が倒れたぐらいで済んだのですが、すぐに原発事故の問題が出てきました。楢葉町に支店もあり、相双地区から勤務している社員もいますから避難を進めないといけません。

 

また、私どもの業種はこのような天災があった場合、役所の行う調査の手伝いをします。震災の次の日には役所から要請があり、崖崩れの点検などを行っていました。

 

■創業の精神を受け継ぎ新しい測量を目指す

 

――楢葉支店は昨年10月に営業を再開していますが、相双地区の現状はいかがですか。

 

阿部 楢葉に相双支店があり広野町から相馬まで相双地区全域をカバーしていました。ですが原発事故による避難勧告もあり、相双支店に勤務している社員はいわきから通勤していたので、落ち着くまでは本社の仕事を手伝ってもらいました。その後10月に仮事務所を相馬に造り、業務を再開しています。

 

相馬・南相馬の建設業者については復旧され取り引きも出来るのですが、双葉郡の避難地区に関しては測量や設計を発注する段階にはまだなってはいないですね。事業者の方も放射線量のことを含めて事業を再開出来るのか難しいところではあると思います。ただ我々は地元で30年間育てて頂いた会社ですから、警戒区域や人の行きたがらない線量の地域であっても、責任感を持って取り組んでいきたいと考えています。

 

――今後の課題・目標は?

 

阿部 公共事業主体の商売ではありますが、手を変え品を変え、それに留まらない事業に手を伸ばしていかなければなりません。官公庁の委託業務だけから建設業者の委託業務にシフトをして先代は売り上げを伸ばしていきました。そのお陰もあり、福島県にあるコンサルタント会社で民間から業務委託を受ける会社では一番大きな会社になっています。通常の会社では売り上げの7割が公共事業が主となっていますが、我々はその逆です。独自性を持って企業として成長してきた流れもありますから、これを受けて継いでいきたいですね。

 

建設業だけに留まらない測量の業務はないだろうかということで、2010年の12月に3Dレーザースキャナーによる現況地形確認システムを導入しています。これは県内でも私どもしか導入していない機材なのですが、現在いろいろな場面で活躍しています。最近では産業廃棄物処理場の埋立地の容量を図る際などに使われていますね。産業廃棄物処理場では業者が埋立地の容量を計測し4年に1回報告にいかなければいけないのですが、いままでですと廃棄物をトラックが運んだり埋め立てしている中、機械を持って2~3人で測量をしなければなりませんでした。この機械は処理場に機械を立てて3Dレーザーで計測します。作業員が不要になりますし、危険な地域の測量も安全に行うことが出来ますから、これからまだまだ業務の幅も広がってくると思いますよ。

(聞き手・丹野 育)

 

阿部好則代表取締役社長略歴

 

昭和40年12月12日、いわき市生まれ。日本大学工学部土木工学科を卒業後、地元建設業者勤務を経て、平成6年に父親の経営する同社に入社。15年に現職に就任。現在はいわき市に夫人と子供2人の4人暮らし。「最も変化に適応したものが生き残る」というダーウィンの言葉を経営理念として、新しい事業に挑戦するチャレンジャー。

 

企業 DATA

 設立:昭和59年4月2日
所在地:いわき市好間町上好間字岸12-3
事業内容:調査、測量、設計、補償、施工管理、工
     事、航空写真
資本金:7,800万円
従業員:49人
http://www.futaba-con.co.jp/

 

(財界ふくしま2012年9月号掲載)

 

 

 

 


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