続報 参院選野党統一候補の人選作業に大きな動き!
▼増子県連代表が水野へ出馬要請を表明
本誌4月号で報じた今夏の参議院選挙福島選挙区の野党統一候補の人選作業が、3月9日に大きな局面を迎えた。会津若松市で開かれた小熊慎司代議士の会合の席で、増子輝彦国民民主党県連代表が水野さちこ県議に出馬を要請したからである。
「私個人としては会津から水野県議に国民民主の候補となるよう要請したいと思っている」
と述べ、県議会の会期末となる3月20日までに正式な要請をすると言及した。
党本部の幹事長代行も務める増子は、従来より党の方針でもある女性国会議員を増やすために、女性候補の擁立にこだわってきた。これに対して水野は、
「正式な要請を受けていないので現段階で答えることは出来ない」
とのコメントに留まっている。
水野は会津若松市選挙区選出の2期目で、現在は国民民主党で活動している。初出馬はみんなの党から維新や民主、民進などに移っているが、それは小熊の所属政党に伴ってのことだ。水野と小熊の後援会は支持者が重なることから小熊の意向も注目されていたが、その小熊のお膝元で増子が出馬要請をしたのである。難色を示していた小熊サイドも了承したということなのだろう。
今夏の福島選挙区では、自民現職で3期目を目指す森雅子と共産党県委員会書記長で新人の野口徹郎が出馬を決めている。まだ野党統一候補は決まっていないが、いずれにしても3年前の改選期と同様に自民対野党の構図にするには、共産党が候補者を取り下げて側面支援に回る可能性が高い。
国民民主は2月上旬に森と水野による全県支持率調査を掛けており、森には及ばないものの意外にも水野が健闘する結果となった。また、3月には立憲民主が森と、昨年末に野党統一候補の打診を断った元ラジオ福島アナウンサーの大和田新、水野、野口を対象に再びリサーチを掛けたところ、森がトップで大和田、水野と続く2位、3位の差は誤差の範囲だったという。だが、なぜ大和田が支持率調査に名を連ねていて、調査主体が立憲民主なのかという不可解さが残る。
ある政界関係者はこう打ち明ける。
「2月の調査では水野の数字が良かった。これは森が弱い裏返しでもあるのだが、3月の立憲民主のリサーチは党本部サイドによるもの。国会議員がいない県連ではこんな芸当は出来ないし、大和田さんに出馬を打診していた玄葉(光一郎代議士・無所属)さんは出馬を断られたあとも、『大和田さんは消えてないよ』と言っていた。恐らく玄葉さんは水野の数字を見て、水野より知名度のある大和田で行けると思ったのでしょう。
増子さんは昨年末まで候補者を擁立すると言いながら出来なかったし、熱意があんまり見えてこない。それに増子さんがトップの党県連の県議の多くは玄葉支持。でも、無所属なので野党統一候補の人選作業でイニシアチブが取れない。そこで、推測だけど無所属の立場で立憲民主の党本部に渡りを付けたと。ただ、大和田さんはこのリサーチを了承していないかも。玄葉さんが『こういう結果が出たので』と大和田さんを口説く材料にするのではないですか」
▼玄葉封じで既成事実をつくった増子
国民民主、立憲民主、社民の各党と無所属国会議員や県議、連合福島による「5者協議会」の中で、政党に所属する衆参の国会議員がいるのは国民民主だけで、同党県連では増子輝彦代表に候補者擁立を一任している。つまりは、立憲民主による野党統一候補のリサーチが、既成事実化を急ぐ増子を水野への出馬要請へと走らせたのではないだろうか。
「立憲民主は4人でリサーチしたが、森と大和田だけならどうだったのか?森と水野は女性同士だから競り合えたので、同じ条件で調査を掛けたら大和田の方が悪いかもしれないよ。玄葉は大和田の知名度ならば非自民だけではなく無党派層も取り込めると考えてのことだろうけれどね。
もし大和田が候補者になったら立憲民主は選挙資金を出すけれど、国民民主はどうなのか?選挙活動をするにしても、中央とは違って県内の組織は国民民主の方が大きいからね。県議らが共闘の大義を主張したとしても、増子が県連代表を辞めない限り党の金を出すというのはないでしょう。そうなれば(野党統一候補の)一本化どころか、分裂でしょう」(ある事情通)
当初より、今夏の参院選では組織戦を想定していた増子と空中戦を描いていた玄葉とでは戦略も候補者擁立のスタンスも異なっていた。それが国民民主県連内でも一枚岩になり切れない要因を生んでいるのかもしれない。
5者協議会のメンバーの一人は、
「増子さんは県議会の会期末までにという期限を切ったので、まずは水野さんの意向がどうなのか。いずれにしても、5者協議会では両党の意中の候補者を聞くようなことはせず、テーブルに着く前に両党で調整してもらいたい。テーブルに載せてしまえば、たとえ表面上だけであっても全員が納得した形での選挙体制は組めなくなる。
唯一、大和田さんが選択肢になるのは、水野さんが固辞をして増子さんが責任を取るというポーズで県連代表を辞任するケース。そうなれば、国民民主も党の資金を選挙に回せる。ただ、このままの状態で国民民主が水野さんに流れ、立憲民主が大和田さんに肩入れし始めれば、一本化したあとの共闘体制にも影響が出てしまう」
と、今後の見通しを語る。
肝心の水野についてはまだ胸中は明らかではないものの、7月4日公示、21日投票が濃厚な参議院選挙まで残された期間はそう長くはない。