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あの味この味 区切り

2017年11月1日

荒川産業株式会社

地域資源発掘業と地域課題解決業の

両輪で地域に貢献する

 

 

荒川健吉代表取締役

 

 

 

■田舎のよろず屋」の精神を貫く

 

──リサイクル事業を中心とした御社の特色から。

 

荒川 私の曽祖父に当たる重四郎が、古着や古道具などを扱う商店として明治26年に創業し、今年(平成29年)で創業125周年を迎えることが出来ました。事業を続けられた特徴として言えるのは、昔もいまも変わらず地域に役立つことを土台に置いていることだと思います。

 

主業としている鉄や古紙、自動車スクラップなどのリサイクル事業は、平成27年に「アマルク」として統一ブランド化し、会津を中心に県内5事業所を展開するまでになりました。その道のりには、地域の皆さんからご提供頂く資源がなければ、成り立ちません。

 

先代(荒川洋二代表取締役相談役)は常々「うちは田舎のよろず屋でいい」と言っていました。お客様が当社を使いやすいように、細かなニーズに対応する姿勢が大事だと考えています。例えば都市圏ですと、資源ごとに収集する業者が違いますが、当社では鉄くずから古紙まで、多岐に資源を取り扱います。また一般的にリサイクル業者は、法人会員だけが利用出来ると思われがちですが、資源ごみのリサイクルボックスでは、「24時間365日」をキャッチフレーズに、個人のお客様でも量の多少関係なく、いつでも誰でも利用出来ます。(次ページ写真)

 

──リサイクル以外に、どのような業務に力を入れられていますか。

 

荒川 当社は事業展開の二本柱として「地域資源発掘業」と「地域課題解決業」を掲げています。地域資源として発掘するのはモノだけでなく、人や環境も当てはまります。障害者やお年寄りが地域を支える人材として輝けるよう、労働支援やリハビリ特化型デイサービスをヘルスケア部門として取り組んでいます。

 

また給食や地元スーパーから出た食品廃棄物で作った肥料の製造・販売を、エコロジー事業の一環として展開しています。それと合わせて肥料の実証実験として、農園も運営しています。将来的には、喜多方のシンボルであるラーメン関係の食品業者の廃棄物を使ってネギなどが栽培出来れば、地域経済の発掘につながるかなと構想しています。

 

──もう一方の「地域課題解決業」には、どんな業務が挙げられますか。

 

荒川 まず挙げられるのは、少子高齢化の問題です。特に会津エリアは、住人がいなくなったあとの空き家対策などは、待ったなしの状況です。

 

残された方々には残念な話になってしまいますが、空き家の遺品整理から解体まで当社がいままで展開してきた事業ですので、個々に業者に依頼しなくても一手に請け負うことが出来ます。残された土地の利用等は、地域の横のつながりで不動産業者をご紹介することも出来ます。依頼されるお客様には段取りを一つの窓口に集約して対応出来て、経済としては、地域企業に仕事が配分出来る理想の形が取れます。

 

また、今年8月にホームページをリニューアルしました。この動きは空き家処理のように、都市部に在住する親類など、これから予想される地域外からのご依頼を見越して、体制を整える意味合いもあります。

 

■地域を支える事で拓ける新ビジネス

 

──リサイクル事業を取り巻く、近年の傾向は?

 

荒川 鉄くずなどの資源はアジア諸国への輸出品として、いまや国際商品化しています。これからは各資源の国際価格やどんな資源が海外で求められているかなど、地域を見る虫の目とともに、グローバルな鳥の目も求められてきています。

 

震災によって資源の流れが変化したことも大きな傾向です。いままで当社がお預かりした廃タイヤは、県外の業者へ処分を委託していましたが、震災後に業者が廃業してしまいました。そこで県内唯一になる廃タイヤ処理専門工場「郡山ウエイストセンター」を設立しました。

 

県内の一大商業地である郡山に拠点が出来たことで、新しい情報も入手出来るようになり、それを地域へ還元出来るメリットも得ました。

 

──事業展開の一方で、地域活性の活動も長年継続しておられますね。

 

荒川 当社が取り扱う様々なリサイクル仕組みをサンプルやパネルで分かりやすく理解出来るリサイクルミュージアム「くるりんこ」は、先代が地域の方々に当社の事業を知ってもらうために平成6年に開設しました。会津エリアの小学生や社会人団体など、多くの方に訪れて頂いています。恐らく、民間企業でリサイクルミュージアムを開設しているのは当社だけだと思います。

 

また、集まった資源を販売した収益金を、地域の小中学校や子ども育成会など資源回収に協力して頂いているオーナーさんや、地元フリーペーパーで募集をかけて手を挙げてくださった地域団体へ助成を行う「故紙コンテナパーク」基金は、継続していきたい活動の一つです。

 

新しい試みとして、地域ポータルサイト「まいぷれ」の会津エリアの運営担当を始めました。地域のいまを地域の方が知るために発信することも、地域貢献と捉えています。このような活動は、地域と絆を深め、事業継続のためにも不可欠ですので、積極的に行っていきます。

 

──最後に今後の展望をお聞かせください。

 

荒川 これからは、いままで培った事業を組み合わせながらをいかにお客様のニーズに沿わせていくかが重要だと感じています。

 

例えば、当社クループのガソリンスタンドでは、1時間500円で軽トラックを貸し出すの格安レンタカーを開始しました。地方では荷物の運搬などで必要となる軽トラックを、農家以外の方にも気軽に使って頂けるような仕組みです。言わば地方版カーシュアリングのようなものです。貸し出したトラックで資源を当社に持ち込むと、回収代を割引する組み合わせも検討しています。

 

また長期的な計画になりますが、いままで培った資源リサイクルを更に成長させて、再生可能エネルギー事業にも取り組めたらと構想しています。地域のニーズを丁寧に汲み取りながら、会津や福島とエリアの輪を広げられればと考えています。(聞き手・江藤 純)

 

 

 

■荒川健吉代表取締役略歴

昭和53年12月5日、喜多方市生まれ。喜多方高校、信州大学経済学部を卒業後、日本通運㈱に入社し物流業界を学ぶ。平成19年に家業である荒川産業㈱へ入社。㈱平和物産の取締役などを兼任し、26年から現職に。創業時からのリサイクル事業のほか、ヘルスケア、ライフサービスなどグループ事業の統括も担っている。現在、喜多方市内で夫人、息子(5歳、3歳)と4人暮らし。趣味は郷土史研究と城巡り。

 

 

 

■企業 DATA

 

創業:明治26年

 

所在地:喜多方市字屋敷免3960

 

事業内容:リサイクル業務、一般・公共工事、機械作業請負・リース、その他環境サービス

 

資本金:2,200万円

 

業員数:109人

 

http://www.amarc.co.jp/

(財界ふくしま2017年11月号掲載)

 

 


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