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あの味この味 区切り

2016年2月1日

初瀬電材株式会社

電設資材を通して
再生可能エネルギー社会に貢献

 

初瀬照夫 代表取締役社長

 

■引先からの信頼と従業員に支えられた90年

 

 

 

――まずは御社の沿革からお願いします。

 

 

初瀬 明治時代、安積疏水を利用した沼上発電所を建設したことに始まる郡山電気㈱で技師を務めていた初瀬七郎が、大正14年に創業して、昨年、90周年を迎えました。私で4代目になります。

 
電気の材料販売から始まり、これはいまも変わっていません。家電販売を行っていた時期もありましたが、昭和41年に商号を初瀬電材㈱とし、流通機構の改革により家電部門を分離して現在の形になりました。その後、東芝ライテック㈱の資本参加と経営指導により、現在の基盤を形成させて頂いております。例えば、かつては電気工事屋さんからの手形の貸し倒れなどがありました。昔は盆暮れ勘定だったのでしょうが、商売はお金の支払いが何よりの信用ですから、手形ジャンプなどを許さない東芝ライテックの経営指導により、粗利益を増やすことが出来ました。東芝ライテックの資本参加は昭和60年で、その3年前に私は入社していましたが、「経営内容が悪いから、お前が社長になる保証はないよ」と父に言われていましたね。実際、3代目は東芝から社長に就いてもらいました。

 
――電気工事業者への資材卸を手掛ける御社の特徴は?

 
初瀬 長い間商売をしていますから、お客様からの信用はあると思っています。私も入社して以来、長く営業を担当しておりました。お客様のもとへ幾度も訪問するのが、やはり誠意と熱意の表れだと思っています。それから、東芝ブランドでやってきたこと、資本参加してもらったことも大きいでしょう。

 
そして、お客様に恵まれているのはもちろん、従業員に恵まれていることだと思います。「プロは目標で仕事する、アマは時間で仕事する」といったプロ意識を高く持って、お客様の日ごろの様々なうれしいこと悲しいことを、お客様の気持ちになって一緒に共有することも大事ですね。

 
――取り扱われている商品は多岐にわたりますが、卸の仕事としましては、例えば同じ商品でも初瀬電材さんから買いたいと思って頂く付加価値のようなものが必要なのだろうと思うのですが、やはりそれは信頼であり従業員の営業力でしょうか。

 
初瀬 営業もそうですし、在庫という問題もあります。また、現在は営業マンに委ねている部分が大きいのですが、それをバックアップし、会社全体でもっと対応出来るようになれば、また違った展開が出来ると思っています。

 
──東日本大震災の影響はいかがですか。復旧工事に伴う資材不足などが話題となりました。

 
初瀬 復興特需はあります。ものがなかったのは初めの半年ぐらいで、我々の業界はその後、落ち着いてきたところはありましたね。震災の翌年ぐらいからは好転して、様々な補助金が出来て助けられました。

 
私にとってはそれ以上に、平成20年のリーマンショックは、事業の継続を危惧した大きな出来事で、資本主義経済では避けて通れない山と谷を身をもって経験させられましたね。リーマンショックの翌年の4、5月は売り上げが半分になりました。我々の業界は、日本経済と一緒に右肩上がりになったり、右肩下がりになったりするのです。その年は、たまたま夏が暑かったのでエアコンが売れ、そして冬が寒かった。気候変動によって助けられたんです。

 
また、深夜電力利用のオール電化、余剰電力・全量買取の太陽光発電システムなど、日本のエネルギー政策がどう変わるかで、我々の売るものが変わってくる。今後、電力自由化により昼間の需要時の電気料金の高騰対応でHEMSを利用したピーク(最大電力)カットシステムは、家庭だけではなく工場やビルにも広がっていきます。各仕入先・メーカーの皆様から時代の最先端の情報・技術・商品を提供頂き、我々が間に入って、電気工事屋さんに提案していかなくてはなりません。

 
郡山地区は産業が集中して、自動車関係の工場なども多いですから、恵まれているんです。福島県の電気工事屋さんの数も、新潟県に次いで多いんです。
景気の先を読み、みんなで知恵を出し合う

 
――景気の波を乗り切る手法は?

 
初瀬 悪くなったら悪くなったら時に考えればいいと思っています。松下幸之助も言っていたことだけれど、苦しい時はみんなで知恵を出し合うと何とか生きていける。事務所の電気をこまめに消せとか、どうしてもダメな時は給料を5㌫カットしたりね。我々の仕事の前には、設計事務所さんや設備設計さんがあるんです。そこがいまどれぐらい忙しいかによって、自分のところに1、2年後、波が来るんです。もっとその先を行けば、測量とか不動産とかかもしれませんね。数年前、公立学校施設への太陽光発電や蓄電池の導入に対して国庫補助が行われた時には、設備設計事務所が図面を作るのに大忙しでした。それが2年後ぐらいに我々のところに来るんですよ。

 
また、ライバル会社に負けないように営業していくのが大事です。その一環として、当社ではお客様93社の工事店会(初瀬東芝工事店会)を作って、交流させて頂いています。

 
――最後に、今後の抱負を。

 
初瀬 郡山には産総研という再生可能エネルギーの最先端の研究拠点がありますので、それらを利用しながら、2040年までに県内エネルギー需要の100㌫を再生可能エネルギーで生み出すという福島県の目標に向けて、再生可能エネルギー関係の商売を伸ばしていきたい。また、トヨタ自動車が2050年にはガソリンだけで走るエンジン車の販売をほぼゼロにすると発表し、いよいよ燃料電池の水素社会が見えてきました。今後もお客様との情報交換を密にし、電気をいかに効率よく使えるかなどを提案出来れば、将来性はあると思っています。

 
また、我々は電気工事屋さんのあとをついていくような部分がありますので、嫌われないように、信頼されるようにやっていけばいいと思っています。簡単に言えば、約束を守る、時間を守るですね。

(聞き手・渡辺利彦)

 

 

 

■初瀬照夫代表取締役社長略歴

 

 

昭和27年1月2日、田村市常葉町生まれ。安積高校から中央大学経済学部を卒業。東京青果㈱、高野電機商会㈱を経て、57年に同社に入社。取締役電設営業部長、代表取締役専務などを経て、平成13年から現職。郡山市内の自宅に夫人と2人暮らし。郡山市大町商店街振興組合理事長、県立聾学校児童生徒後援会長、(社福)太田福祉記念会理事、尚志学園参与などの公職も務める。趣味はゴルフ。

 

 

 

■企業 DATA

 

創業:大正14年

 

所在地:郡山市喜久田町卸一丁目45-1

 

事業内容:電気材料販売卸売業

 

資本金:2,000万円

 

年商:21億5,000万円(平成26年度)

 

従業員数:30人

 

 

 

(財界ふくしま2016年2月号掲載)

 

 

 

 

 

 


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