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あの味この味 区切り

2014年9月1日

日本通商株式会社

総合力を高めて景気の波に
左右されない強い基盤を

 

藤田勝太郎代表取締役

 

■バブル崩壊を機に賃貸事業に力を入れる

 

――昭和50年の設立から来年で40周年を迎えます。現在は福島市内を中心に不動産の売買や仲介、賃貸、そして建築・土木の設計施工など幅広い業務を手掛けていますが、もともとは空手の師範として本県にいらっしゃったそうですね。まずは会社設立の経緯からお聞かせください。

 

藤田 ちょっと古い話になりますけど、もともと私は神奈川の出身で、当時は東京の全日本空手道連盟錬武会というところで空手に従事していたんですね。福島に来たのは空手の師範を請われたためで、昭和42年から福島市内の道場で空手を指導していました。ただ、空手を教えるといっても一日中道場にいるわけではありません。そこで、空き時間に何か別のことを出来ないかといろいろな仕事を探していたところ、ちょうど知り合いの小針幸太郎(元郡山商工会議所会頭)さんから「一緒に(不動産を)やってみないか」と、この業界を勧められたんですね。

 

不動産の仕事は事務所に付きっきりになってやるようなものではないので、空手とも両立が出来る。また、当時の日本は高度経済成長期の真っ只中にあり、これからどんどん伸びていく成長産業でもあったため、前々から興味は持っていました。それで、彼が立ち上げた東北土地開発㈱という不動産会社に初期メンバーとして参加したのが、この業界に携わるようになったきっかけになります。当時は県内でも既に開発ラッシュが起きており、土地の動きは活発でした。毎月飛ぶように土地が売れた、そういう時代だったのです。そして、昭和50年に市内本町の雑居ビルに居を構え、従業員3人とともに立ち上げたのがいまの日本通商㈱です。設立当初は確たる経営基盤もなく苦労しましたが、土地の需要は年々増えていく一方でしたから、順調に事業を拡大することが出来ました。

 

――バブル崩壊後、冬の時代を迎えた不動産業界では多くの同業者が倒産に追い込まれました。

 

藤田 バブル期には集中して東京にお金が集まり、そこにあふれたものが新幹線沿いに流れていきました。県内でいえば特に福島、郡山が活発でしたね。いまでは考えられませんが、バブル期には億単位の取り引きが電話とファクスだけで行われることもあったのですよ。しかし、バブルが弾けて金融機関が引き締めを行ったことで、土地の売買は低調となり下落する一方となりました。

 

そのため、当社ではバブル崩壊を契機に賃貸事業に段々と重きを置くようにしたのです。土地の売買だけでは景気の波に左右され、業績は安定しない。土地の動きが鈍くなっていた中では、毎月、固定収入が得られる賃貸事業が大きな安定をもたらすと考えたわけです。造成して売りわたすのではなく、アパートやマンションを建て賃貸として回す。購入する物件は大体が不良債権でしたから安く買い取ることが出来、銀行から融資を受けても、優良な収益物件であれば十分に採算がとれました。

 

また、これまで我々は〝土地から住まいまで〟をモットーに、土木建築やリフォームなど不動産に関係する業務はすべて請け負ってきましたが、中古物件を買い取って自社でリフォームすることで一貫した収益を上げることが出来ています。バブル崩壊によって大きな影響は受けましたけど、こうした仕事を増やすことで経営に出来るだけ波が起きないよう努めてきました。いまでも多くのスタッフが在籍することが出来ているのは、安定した収益が土台としてあるからなんです。

 

■実績を日々積み重ね、信用力を高めていく

 

――不動産業は〝信頼産業〟とも言われていますが、顧客との信頼関係を築いていく上で大事な点とは何でしょうか?

 

藤田 多くの同業者がいるのにもかかわらず、なぜ一部の会社に依頼が集まるのかというと、この業界は信頼が大きな要素を占めるためです。不動産という大きな財産を取り扱うわけですから、当然、不安になっているお客様も多い。そうした方々に安心して頂くためには、一つは応対するスタッフが高い知識を持っていることが大事になります。不動産を取り扱うには専門の資格を必要としますが、資格を取ったらそれで終わりというわけではなく、それ以上の幅広い知識が求められます。私もこの業界に入る際に法律をはじめ様々な専門知識を勉強しましたけど、それでも実際にお客様の相談を受けた際、分からないことは多々ありました。法律や税制は毎年変わるわけですから、絶えず時代に合った知識を蓄えておかなければなりません。そのため、当社では質の高いサービスが提供出来るスタッフの育成に力を入れてきました。

 

もう一つは、優良な商品をそろえること。顧客ニーズが多様化している昨今、土地や住宅、マンションなど豊富にそろえておかないと十分な対応が出来なくなります。大きい案件であれ、小さな案件であれ、コンプライアンス、モラル重視の精神を持って一つひとつの取り引きを大切にしていく。そうした実績を日々積み重ねることで会社の信用力が生まれていきます。当たり前のことですが、特に信頼が大きな要素を占める不動産業界においてはそれが大事なことなんです。

 

――今後の展望をお聞かせください。

 

藤田 全国的に住宅需要は高まっていますが、本県の場合は景気が良くなったというよりも避難者の方や復興関連によるものが大きいと思っています。土地の売買のついては、今年4月の消費増税によって落ち着きは見せているものの、ここにきて需要は戻りつつあります。いまは売るよりも買う人の方が多い。あくまで当社は土地売買がメーンの会社ですので、今後とも仕入れの方に力を入れていきたい。また、賃貸についても市内では空室がほとんどないのが現状ですので、優良物件であれば積極的に買い取りを進めて賃貸に回していければと考えています。

 

昔と違っていまは質が求められる時代ですので、いかにいいものを安く仕入れていくのかがポイントとなります。生活していく中で「住」の役割は大きい。我々としても、皆さんの住生活に貢献出来るよう努めていければと思っています。(聞き手・斎藤 翔)

 

■藤田勝太郎代表取締役略歴

 

昭和16年9月14日、神奈川県横浜市生まれ。東京の豊島実業高校(現・豊島学院高校)を卒業後、日本大学法学部に入学。42年に空手の師範として来県し、50年に同社を設立した。公職では、(公社)全国宅地建物取引業協会連合会参与、福島商工会議所常議員、同不動産部会長などを務めている。現在、市内で夫人と2人暮らし。

 

■企業 DATA

 

創業:昭和50年9月設立

 

所在地:福島市太田町24-15

 

事業内容:宅地建物取引業、一般建設業、分譲マンション管理業

 

資本金:1,000万円

 

従業員数:20人

 

(財界ふくしま2014年9月号掲載)


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