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あの味この味 区切り

2014年1月1日

株式会社ガンマーサード

ボトムアップの経営で 店舗展開

 

森山大介 代表取締役

 

 

■社員のやりたいことをやらせる

 

――現在は福島市内で7店舗の飲食店を経営されていますが、まずは起業の経緯から伺います。

 

森山 もともと私は東京の生まれで、平成8年に会社を設立するまでは都内で生活をしていました。昔から自分で何らかの商売をしてみたいという思いは持っていたのですが、具体的な業種については考えておらず、いまの仕事に携わるようになったのは学生時代に居酒屋でアルバイトをしたことがきっかけです。

 

丸の内にあったその店は連日繁盛していて、働いていて本当に楽しく、それが契機となって飲食業の分野で挑戦することにしたんです。そのため、大学を卒業してからは、簿記の専門学校で経営の勉強をしながら、夜は居酒屋でアルバイトという日々を送り、25歳の時に福島駅前のビルに初店舗となる「串焼きの店・宴(EN)」をオープンさせたんです。

 

――福島で始めた理由は何でしょうか。

 

森山 初めは新橋など都内の物件を探していたのですが、家賃や保証金が高額だったこともあり、なかなかいいところが見付かりませんでした。そんな折、福島にいた親戚の家に寄った際に、ちょうど福島駅前に出来た新しいビルで居酒屋を募集しているという話を聞いたんです。その物件は東京と比べて家賃、保証金が格段に安くて、1000万円あれば20坪弱の場所に新品の店を出すことが可能だと分かり、それなら福島で自分の店を始めようと決意しました。

 

ただ、知り合いもツテもない状態で始めたものですから、開店したのはいいもののお客さんが全く来ない状態が続いて本当に苦労しました。福島では馴染みの店を大事にする文化が強いことや、東京とは人口密度が全く違うため、ただ待っているだけでは人は来ない。こちらから積極的に仕掛ける経営をしていかないとダメなんだと勉強させられました。

 

――出店するに当たり工夫した点は?

 

森山 それまでの串焼き屋は、どちらかというと男性が通うところで、女性はなかなか行きづらいというイメージが一般的でした。そのため、ENでは店内でレゲエを流すなど、若い人や女性向けのカジュアルなコンセプトのお店にしたのです。また、当時の福島駅周辺は夜遅くまで営業している店もあまり多くなかったものですから、口コミが広がって開業後3カ月あたりからは若い人を中心にどんどんお客さんが来るようになり、それから翌年以降は2店舗、3店舗と徐々にお店を増やしていくようになりました。

 

――東京から単身福島に来て、ここまで成長出来た要因は何だと考えていますか。

 

森山 何よりも社員でしょうね。当社では上からではなくボトムアップを基本としていて、現場で働いている社員に自由裁量権を与えているんです。店長の一人ひとりに経営全般を任せていて、この要素はほかのところと比べても強いはずだと思っています。特に飲食業では「いずれは独立したい」と思っている人は多いですからね。自分の好きなことにはとことん夢中になりますから、社員のやりたいことをやらせるのが一番だと思っています。ですから、私は現場から上がってきたアイデアにアドバイスを加え、形にしていくようにしているんですよ。

 

ただ、権限を与えている一方で、赤字が続くようであれば店長を交代させたりするなど、何かしらの手は打つようにしています。また、店舗ごとの数字をすべてガラス張りにして、お互いで確認出来るようにもしています。そうすることで一人ひとりが緊張感を持つようになるんです。

 

■今後は都内進出も視野に入れる

 

――これまでカフェやレストラン、居酒屋など様々な飲食店をオープンしていますが、出店するに当たってはどのようなコンセプトで展開しているのでしょうか。

 

 森山 飲食店は非日常的な空間ですので、いずれの店も「お客様を喜ばせ、楽しませる」というコンセプトで立ち上げています。ただ食べるだけの場所ではなくて、エンターテインメントの要素を組み入れていく。出店する際には、自分がお客さんの立場になって、このマチにはこんな店があったら、こんな料理が食べられたらいいな、という考えで出店しています。

 

――一昨年の東日本大震災によって各産業は大きな被害を受けましたが、飲食業の影響はいかがでしたか。

 

 森山 もちろん震災が起きた3月は営業が出来ず、4月の売り上げも例年の半分以下でしたね。資金もショートしたため、金融機関から融資を受けたり、従業員の給料をカットしたりと大変苦しかったです。ただ、復興需要もあって6月ぐらいからは急にお客さんが増え、それから2、3カ月は毎日が12月のような忙しさでした。  いまはだいぶ落ち着いていますが、震災前と比べても1割ほど売り上げが伸びています。どこの飲食店でもそうだと思いますけど、それこそリーマンショックのころと比べても売り上げは全然いい。業界全体としてもいい方向に向かっているなと実感しています。 ――最後に、今後の目標を。 森山 震災以降、市内では出店ラッシュが続いていて、現在はなかなか空き店舗がない状況です。ただ、もう少しすれば一段落すると考えていますので、いい案件があったらいつでも動けるような体制はとっています。市内についてはあと1、2店舗ぐらいの出店を考えており、今後はその時の流行や需要に合わせて既存店舗のブラッシュアップ、リニューアルを図っていきたい。

 

また、県内はもとより、関東、具体的には都内の出店も検討しています。進出に当たっては、1つのエリアに7店舗ぐらいを1つのユニットとしてやっていけないかなと考えています。管理する面では、いま市内で経営している7店舗ぐらいが目の届きやすい範囲なんですよね。福島の場合、人口に対しての飲食店の割合は多い方で、その中でほかの飲食店と切磋琢磨してきたノウハウは別のエリアに行っても戦えるはずです。今後もお客様を喜ばせ、楽しませるをコンセプトに成長していきたいと考えています。(聞き手・斎藤 翔)

 

■森山大介代表取締役略歴

 

昭和45年12月22日、東京都生まれ。埼玉県の聖学院大学を卒業後、都内の簿記専門学校に入学し、経営の勉強をしながら夜は居酒屋でアルバイトという生活を送る。平成8年に同社を設立し、福島駅前に「串焼きの店・宴(EN)」をオープン。現在、神奈川県で暮らしている。趣味はサーフィン。

 

 

 

■企業 DATA

 

設立:平成8年5月

 

所在地:福島市大町1-13ワークビル4F

 

事業内容:飲食店の経営・運営、飲食開店・開業支援、飲食店業態開発など

 

資本金:500万円

 

従業員数:20人

 

http://www.gamma-third.com/

 

 

(財界ふくしま2014年1月号掲載)

 

 

 

 


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