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あの味この味 区切り

2013年7月1日

雑貨 佳趣

日本初のオーダーメードの
ミニチュアフードストラップを提供

 

星 宏代表

 

■本物そっくりのラーメンストラップが大人気に

 

――リアル感あふれるラーメンの携帯ストラップが大変有名になっています。

 

 光学機器の製造会社でエンジニアをしていましたが、いずれ独立して東急ハンズのような生活雑貨品を扱うお店を開くのが夢でした。

 

会社組織の窮屈さを感じていたころ、気に入った物件を見付けたことから思い切って独立し、お店を開きました。ごく普通の雑貨店でしたが、当店オリジナルのミニチュアフードストラップ作りを始めたところ、こちらで有名になりました。暇そうなお店だとよく言われますが、ストラップの売り上げがお店の4割以上になるので、実はストラップ製造で忙しいのです。
 ヒット商品になったストラップは、当時の菅家一郎会津若松市長にソースカツ丼のストラップを使ってもらい宣伝してもらうために作ったもので、それがあちこちに出回り評判になったようです。

 

ドンブリからカツがはみ出るソースカツ丼で有名な白孔雀の店主が一発で気に入ったそうで「一体どこの誰が作っているのか」と当店を探し出し注文が来たのが最初で、それからストラップの注文製造が始まりました。

 

いまでは喜多方の坂内食堂(喜多方ラーメン)や、ブームになっているので「ゆるキャラ」も作っています。ゆるキャラは神奈川県大和市の「ヤマトン」、喜多方市の「みんべぇ」も市のライセンスを得て製造販売し、郡山市にある広告代理店のル・プロジェを通してバームクーヘンのストラップも作っています。

 

――販路の拡大はどのような方法で行っていますか。

 

 営業は、そのお店の商品を作り持参して店主に見てもらいます。料理はもちろん、どんぶりの模様までそっくりなので感激されます。会津は喜多方を含めラーメン店やソースカツ丼店がたくさんあり、にぎわっているお店も多いので、1軒、1軒を営業先にすることが出来ます。

 

■世界で認められるモノづくりを目指す

 

――商品はどのようにして製作し、販売しているのですか。

 

 もともと、私自身が内視鏡を作る技術者でしたので、作業工程で接着剤、樹脂などを取り扱ってきました。ストラップを見て一体何を使って出来ているのかとよく聞かれますが、実は特殊な粘土で作り上げています。例えばラーメンであれば、その粘土で麺、ネギ、チャーシュー、メンマ、ナルトなどのパーツを作ります。もちろん注文のあったお店の食器も手描きでリアルに描いていき、それらを一つひとつ接着させて製品化していきます。

 

特にラーメンのスープはどうしているのかをよく聞かれますが、これはガラスレジンという樹脂です。これを工学的に加工すると固くなります。そういう技術で商品を製作しています。ソースカツのカツ部分の質感もどうやっているのかもよく聞かれるところです。

 

粘土の原料はトウモロコシから出来るコーンスターチ、小麦粉、木工用ボンドの性質を持ったものを混ぜ合わせたものです。塗料は水性のアクリル塗料です。パーツは粘土と染料を混ぜ合わせ焼き物と同じように「手びねり」で作っていきます。工程自体は企業秘密にしていますが、種明かしをしても同じ物を作ることが出来る人はいないと自負しています。

 

当店と同じような工程で精巧なストラップを製造しているところをほかに見たことがないので、日本初、恐らく世界でも当店だけだと思います。新しい試みなのでサブカルチャーと呼ばれています。

 

――ある意味、精密機械を作っているようなものですか。

 

 工程が光学器械作成と同じですので出来上がったものはそうなります。それが、たまたまソースカツ丼になったりラーメンになったりします。ですから、食べ物以外でもゆるキャラの依頼を受けて製作し、販売しています。

 

携帯のストラップと割り切って考えると中国などで安く量産すればいいと考える人も多いようですし、私も検討してみました。しかし、距離、言葉が違う。簡単に伝わることが伝わらない。

 

当店で作ることにより注文から完成するまでタイムリーで早い。会津の中ですとフットワークもいい。逆に例えば5000個を海外で安く作っても出来上がった製品が気に入らないとなると、5000個すべて無駄になってしまいます。コストも掛かり、在庫も大量に抱えることになります。在庫管理が必要になってしまうと個人のラーメン店やソースカツ丼店では発注出来ないでしょう。当店ではそれを1個からでも注文があれば提供することが出来ます。

 

また、いまの形態ですと、例えば、取引先から「チャーシューの色にもう少し赤身を増してください」というような注文にも細かく応じることが出来ます。

 

当店で作っているようなものを趣味で作っている人ももちろんいます。趣味と当店との違いはQCD、いわゆるクオリティー、コスト、デリバリーの枠組みの中でビジネスとして成り立たせていることです。見た目が良くてもすぐ壊れるようでは商売になりません。そこまで考えた工程で製品を提供しています。

 

――お土産としても人気があるようです。

 

 観光客が購入し、それを旅日記のようなブログ、フェイスブックに載せてもらえる。それがネットで拡散していくと当店も潤いますし、置いて頂いているお店も有名になっていきます。

 

――今後の抱負を。

 

星 自分はこのストラップで日本中、世界中から認められるようにしたいです。儲けだけを考えた大量生産は考えていません。「このストラップは星宏が作った」と言われるようになりたいです。お店も普通に販売しているだけでは話題になりませんが、このストラップは人を引きつけますし、話が盛り上がります。

 

また、原料さえそろえば商品を製造する技術がありますので世界中どこででも作ることが出来ます。腕一本で世界を渡り歩きたい、そういう抱負を持っています。

(聞き手・磯貝 太)

 

星 宏代表略歴

 

昭和40年4月11日、喜多方市(旧塩川町)生まれ。会津高校を経て東京電機大学電子工学科を卒業した。光学機械メーカー勤務後、平成9年7月に独立して起業した。趣味は少林寺拳法で3段の腕前。美加夫人と2人暮らし。

 

■企業 DATA

 

創業:平成9年7月31日

 

所在地:会津若松市飯盛3-15-60

 

事業内容:ギフト、雑貨販売、ミニチュアストラップ企画、製作(会津名物食品、キャラクターストラップ)

 

http://heartland.geocities.jp/cocoa718jp/

 

 

(財界ふくしま2013年7月号掲載)


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