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あの味この味 区切り

2012年3月1日

ポエムグループ

美容文化の創造から地域貢献も目指す

八ヶ城慶二代表

 

■顧客優先のサービスを追求する

 

──独立起業の経緯を教えてください。

 

八ヶ城 薬品会社でサラリーマンをしていました。しかし、身内で美容師を目指していた者の影響から美容に興味を持つようになり、会社を辞めて美容学校を卒業し、昭和55年3月1日にポエム美容室大町店を開店しました。

 

――現在は何店舗ありますか。

 

八ヶ城 会津若松市に5店舗、喜多方市に2店舗、会津坂下町に1店舗、全部で8店舗を経営しています。開店から平成19年5月まで、1~3年ごとに店舗展開をしてきました。

 

店舗展開だけではなく、サービス面でもいろいろな試みをしています。サービスメニューにオプション制を導入し、この制度でお客様を増やすことが出来ました。また、15年からは制服をやめました。それによって従業員の個性を出すことが出来、親しみやすさも提供しています。更に、予約優先制も導入し、これも好評を得ることが出来ました。

 

いろいろな試みから売り上げも増え、16年には年商2億円を超えました。その後も社員教育を向上させる努力をしています。ヘッドスパ、カウンセリングシートの作成、ハンドマッサージの提供なども取り入れ、最近ではホームページも充実させました。

 

――売り上げ向上のアイデアはどのようにして作り出すのですか。

 

八ヶ城 これは従業員からの報告です。毎日、従業員には営業状況を詳しく報告させています。お客様からの要望、評価、その内容を細かく分析して毎日新しい戦略を立てています。というのも、お客様の生の声が一番大切な情報ですので、出来れば一言も漏らしたくない。

 

その声を聞いているのが現場のスタッフです。お客様の評価がはっきりと数字になって出てきます。それから、当社に対するスタッフの要望、提案、評価も大事な情報ですので、これも毎日提出させています。お客様の声、現場スタッフの声を真剣に受け止め、サービスを考えています。これらはサービス業の原点だと思いますし、その情報をどう利用するかが、経営者の手腕になると考えております。

 

――毎日の業務報告を提出させるきっかけは?

 

八ヶ城 店舗の数が増えてくるとともに、店舗間の格差も出てきました。これを解消するために考えたものです。最初に取り組んだのが、「会社の方針・方針の明確さ」です。そのためのシステムを作りました。重点的に行っているのがマニュアルの作成で、これは経営理念を基に作成しました。そして徹底した指導により、このマニュアルをスタッフ一人ひとりに浸透させています。これによりお客様も増えていきます。

 

また、当社では「ビジュアルサポートシステム」を導入しています。このシステムによって、テレビ電話で全店舗の間でコミュニケーションが図れるようになっています。例えば、各店舗の混み具合がリアルタイムで分かりますので、お客様をお待たせしないというサービスの向上が図れますし、スタッフの稼働率の平均化も図ることが出来ます。このようなシステムを作り上げたことで多くの店舗を展開出来ることが出来たと思っております。

 

――いまでは会津を代表する美容院になりました。

 

八ヶ城 結果的にお客様から必要とされるか、好まれるかだと思います。好まれなければ商品も売れないし、お店にも来てもらえません。だからといって料金を下げても、技術やサービスに魅力がなければお客様は来てくれません。適正な料金、サービスはこちらが提示するのではなく、お客様が判断するものだと思います。当社の理念は感謝の心を大切にし、夢と誇りを持つ。美容の道を真剣に追求し、地域になくてはならない信頼される美容院です。これを今後も目指していきます。

 

■独立起業するスタッフの支援も

 

──独立の支援もされています。

 

八ヶ城 昔は「のれん分け」といわれていました。私も資金を貯め、自分のお店を開くことが出来ました。スタッフもいずれは自分の店を持ちたいという夢があると思いますし、その気持ちもよく分かりますので、やる気のあるスタッフを応援しています。平成14年ごろからになりますが、ほぼ毎年1~2人独立起業しています。独立にあたっては銀行の借り入れの際に私が保証人にもなります。開店に必要な場所、従業員も貸しています。自分の育てた人間が独立する姿を見ることに生きがいを感じていますし、信頼関係を築くことも大事ではないかと思います。

 

――売り上げの面ではどうなのでしょう。

 

八ヶ城 もちろん、売り上げは落ちます。独立させる美容師は年間1000万円以上を売り上げる力があることが条件ですので、独立するとほぼ同額の売り上げが落ちます。しかし、そのために3カ月から半年で売り上げを回復出来る環境も作っています。つまり、ほかの人材が育ってくるシステムを作ってあるのです。独立すればその店の店長がいなくなるので、従業員が新しい店長になり、そこで店長として成長していきます。チャンスを与え、育てることが経営者として大事なことだと思います。

 

――地域貢献でも活躍されています。

 

八ヶ城 「会津ネットワーク協会」という組織を立ち上げています。サービス業から観光、建設、医療など様々な業種、業界の方が集まって会津を元気にしようという目的を持って取り組んでいます。10年以上やっていますので、メンバー同士の商取引も活発になっています。また、私自身も美容業界からだけではなく、視点を広げることも出来ました。

 

今年3月1日で当社も設立32年目になります。売り上げも設立から26倍になりました。地域で最も愛される美容室を目標としていますが、多店舗ならではの機動力を生かし、これからも、地域社会にも貢献していきます。ただし、年齢的にも自分の意志を引き継ぐ人材育成も必要になってくると思います。息子(賢二氏)に跡を継がせるべく修業させていますので、頑張って欲しいです。

(聞き手・磯貝 太)

 

八ヶ城慶二代表略歴

昭和30年5月5日、大沼郡金山町生まれ。県立川口高校卒業後、薬品会社に2年間勤務する。その後、会津理美容高等専修学校卒業し、仙台市の美容室で2年間修業した後、55年に起業した。(社)AIZUビューティーカレッジ理事長、(社)会津理容美容協会理事長、福島県美容業生活衛生同業組合副理事長、㈱まちづくり会津取締役、㈱FMあいづ役員も務める。家族は夫人と1男2女。

 

企業DATA

設立:昭和55年3月

所在地:会津若松市大町1丁目7-14

事業内容:美容一般、着付け、エステ、かつら、講師活動

年商:2億円

従業員:40人

(財界ふくしま2012年3月号掲載)


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